子育て支援施設「URACCO(うらっこ)」(長崎県松浦市)

子育て支援施設「URACCO(うらっこ)」(長崎県松浦市)
Childcare support facilitiy ” URACCO “ in Matsuura City

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 2016年4月、長崎県松浦市は にぎわいと活力あるまちなか創出を図るため、松浦市中心部の児童館跡地にコンテナを活用した子育て支援施設を設置した。本プロジェクトでは松浦市役所、株式会社ワークヴィジョンズ、当研究室の三者が連携し、地元住民とともに全3回のワークショップ(WS)が実施され、上記施設「URACCO」の設計、設置を達成する運びとなった。松浦市役所は事業に関わる情報や資料提供を、施設全体の実施設計は株式会社ワークヴィジョンズが担当し、当研究室は本事業全体のコーディネーターを務め、施設運営面での提案やWS成果物の作成等に従事した。

 施設の設計コンセプトは「子育てと子どもたちの未来を創るみんなのタマリバ」とされ、誰でも気軽に立ち寄ることのできる広場づくりや、児童館跡地の東側に隣接する散歩道の整備が目指された。広場内は全面に芝生を敷き、コンテナは広場の中央に設置、コンテナの四方は以下に示す4つの利用空間の創出が目指された。

① 読書のテラス:図書館側にあるテラスを延長しウッドデッキを広げ、ゆっくりと本が読める静的スペース(図書館との連携)
② あそびの原っぱ:芝生広場に築山と足洗い場を配置し、コンテナ内に在駐する管理者の目が行き届く配置
③ おはなしのテラス:水辺の心地良い景色を感じながらのんびり話したり、散歩の休憩で気軽に休める開放的な空間
④ にぎわいの原っぱ:広場の賑わいの創出を図るため、図書館から離れた外からもよく見える場所に設置

 本施設は40フィート(約12m)型のコンテナを3つ連結したものであり、床の素材には掃除がしやすいようにビニル床タイルが提案された。コンテナ内は様々なイベントに対応できるようワンルームとし、可動棚を動かしながら自由に空間を仕切ることができるよう工夫が図られた。また子どもたちが裸足で自由に遊べるスペースが設けられ、収納棚も常駐する管理者が子どもを見守ることのできる高さに設定されている。加えてベビーベッドや簡易的な授乳室が設けられ、乳幼児も利用できる内部空間の設備設計がなされた。
 WSにおける松浦市街地の現状分析結果の共有や住民意見の収集によって、多目的に利用できる子育て支援施設の設計が図られ、隣接する水路沿いに散歩道を設ける等、松浦市全体のまちづくりを見据えたデザインの提案となっている。

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