津久見市民図書館周辺整備/スイーツ&防災マップ(大分県津久見市)

津久見市民図書館周辺整備/スイーツ&防災マップ(大分県津久見市)
Tsukumi City Library/Sweets and Disaster Prevention Map

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津久見市民図書館周辺整備
 津久見市民図書館は建築家「磯崎新」の設計である。特徴の一つとして、彦之内川に沿う壁は一面ガラス張り、図書館内から彦之内川や対岸を一望できるように工夫が施されている。また遊歩道については、彦之内川へ続く階段が設置されており、周辺を見ても彦之内川へ容易に近づける数少ない親水空間といえる。対岸には白蓮幼稚園や道路があるが、彦之内川や図書館を眺望できる場所は見られない。同市役所職員より「本図書館は津久見市の中で、有名建築家により設計された歴史を持ち、貴重な建築物であるという認識はあるが、周辺の水辺についてはまだ利用されているとは言い難い」という意見も挙げられていた。
 これを受け2019年の7月と8月に、図書館周辺の水辺について考えるワークショップを開催し、参加した中学生や周辺住民から「図書館周辺の良い点」や「悪い点」などを得ることができた。ワークショップの意見や現地踏査を踏まえて、遊歩道と小空間の再整備プランを作成した。本プランでは図書館前の開放感を確保するため、遊歩道整備、図書館内からの視線や遊歩道からの距離に配慮したベンチの設置、図書館北西側に配された小空間の広場化など、遊歩道の快適性と共に、彦之内川への愛着に寄与する提案がなされ、実際の整備にまで至った。

スイーツ&防災マップ
 津久見市は2017年台風18号による浸水被害に見舞われている。当研究室は市民の防災意識向上と市街地内商業の活性化を目的とし、避難所などの防災拠点とスイーツを取り扱う商店や市内の魅力的なポイントなどを書き込んだ「スイーツ&防災マップ」を作成した。本マップ作成後、市民や観光客に向けてヒアリング調査を行った結果、ハザードマップよりも手に取りやすく、防災意識の普及と向上につながる新鮮味や面白みが感じられるとの回答が得られている(2020年には大分県立図書館の郷土資料として所蔵される運びとなった)。
 スイーツ&防災マップ作成時に最も困難だった点として、防災情報とスイーツ情報の記載割合の難しさが挙げられ、ヒアリング調査のなかでも「防災情報が目立たない」などの意見も見られたことから、記載する防災情報とスイーツ情報の取捨選択および優先度や割合について十分注意する必要があることが再確認された。 本マップの存在と作成過程を通して、被災した同市のイメージアップや愛着形成が少しでも促進され、さらには市内周遊の促進にもつながれば幸いである。

受賞歴:第25回防災まちづくり大賞2020

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