春吉橋 詳細設計・デザイン監修(福岡県福岡市)
Haruyoshi Bridge







那珂川に架かる国道202号の春吉橋は、九州の二大繁華街である天神地区と博多地区の中間地点に位置し、日本を代表する歓楽街、中洲地区に隣接していることから、昼夜を問わず多くの利用が見られる橋である。しかし、併用後50年余りが経過し、老朽化等が問題視され、国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所は春吉橋架替事業を進めた。一方、架け替えに伴い仮設された迂回路橋は新橋完成後も存置し、利活用空間を創出する計画とされた。
本事業では景観デザイン検討開始に合わせ、当研究室が参画し、九地整、コンサルタントに加え、賑わい空間を整備・維持管理に従事する福岡市とともに協議が進められた。また景観検討初期から鉄工メーカーも参画し、細部に対する技術的な助言などがなされた。 2021年2月から5月にかけて全体での打合せが計6回実施され、モックアップによる照明や地覆の検討、現地での舗装材や点字ブロックの確認などを経てデザイン案が導かれた。
春吉橋では全体のコンセプトとして、隣接する歓楽街中洲との繋がりを重視し、大人の雰囲気漂う風格のあるデザインが目指され、親柱、高欄の材質はともに重厚な質感を保持できる鋳鉄製、色はダークグレー色となっている。高欄は細長い角丸長方形断面のバラスターを林立させ、統一感と重厚感の両立を図りながら、川を行き交う水上バスや川沿いから橋上の様子が視認しやすいデザインを目指した。また横断・転落防止柵や照明柱などの道路付属物は親柱、高欄と同じくツヤなしのダークグレー色を塗装し、形状も部材の細いシンプルなものが採用されている。照明は、橋の周囲にある街灯や商業施設等の点的かつ派手な明るさとの差別化を図るため、橋を渡る人々や高欄および親柱が品良く浮かび上がる明かりづくりが目指された。同ハンドレールには印象的な手触りと夏場の表面温度低減が期待されるスリット加工が施され、親柱上部まで伸長させるとともに、親柱の銘板面に同スリット加工と上方への傾きを持たせ、デザインの一体性ならびに橋名の見せ方に対する趣向が取り入れられている。
なお鋳鉄製親柱に書かれた橋名「春吉橋(はるよしばし)」の文字は、福岡出身のタモリさんによる直筆文字を転写したものである。
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