福教大付属福岡小学校の広場デザイン(福岡県福岡市)

福教大付属福岡小学校の広場デザイン(福岡県福岡市)
Fukuoka Elementary School Open Space Design

スクロールできます

 
 開校から130年の歴史と伝統をもつ福教大附属福岡小学校は、福岡市のほぼ中心部に位置し、大濠公園・西公園・福岡ドーム等、福岡を代表する景観資源に囲まれている。校庭内にはサクラが植えられ、西公園にも近接していることから、市街地ながらも緑豊かな環境であった。本プロジェクトの対象となった広場は、小学校玄関前に立地し、校庭内の中心に位置していた。広場内には古くからの桜の木が立ち並び、その保全が求められる一方で、雨水等によって地表面が浸食され、硬く凸凹した地面には多くの雑草が生い茂り、児童の立ち入りにくい空虚な場所となっていた。またすぐ隣には子供達が遊ぶグラウンドが広がっているものの、境界部に連続した高木が林立していたため、広場から児童達が遊ぶ姿はほとんど見えなかった。さらに近接する歩車共用道路への児童の飛び出しが、安全上の問題として指摘されていた。

 そうしたなか同小学校は、2006年創立130周年の記念事業として上記広場の改修に着手した。当研究室は同校の教諭から直接相談を受け、教育の一環として総合学習の時間を利用し、同小学校5年2組(39人)の参加するワークショップを全10回行い、児童達との協働による広場設計を進めていった。ワークショップは広場の現状把握、目標設定、設計案の作成、施工までの流れを出来る限り机上だけでなく児童の実体験による検討を重視し、進められた。 具体的には広場のデザインにおいて、地場産石を配した見晴らしの丘を設置し、隣接するグラウンドとの「視覚的つながり(風景の結合)」が図られた。また施工時の最終的な芝張りの作業は全校児童で行い、広場のオープン式典は上記5年2組の生徒達が司会進行、ワークショップ全体を通して、空間デザインや広場に対する児童達の認識、意味付け、愛着の強まる場面が垣間見られるプロジェクトであった。 

受賞歴:2008年度キッズデザイン賞 (建築・空間デザイン部門)

関連リンク

目次